金融業界におけるIFAの知名度は徐々に上がっており、IFAとして働く方の人数も増加し続けています。
証券会社や保険会社を中心に、金融機関を退職してIFAに転職する人が多くなっていますが、実際どのくらいのペースで増加してるのでしょうか。
また、証券会社で働く社員の人数や、海外のIFAとの比較をしてみて、どれくらいまでIFAの人数が増えるのかについて考察してみたので、この記事で解説して行きます。
日本におけるIFAの位置付け
IFAの人数は増加傾向にあるものの、一般的な職業としての知名度は低く、同じ金融業界で働いている人であっても知らない人がいます。
IFAの知名度が低い理由
純粋に人数が足らないという理由もありますが、金融商品仲介業者が多すぎるために、IFAがそれぞれ色々な会社に所属するので、大手で資金力がある仲介業者が無いという点も挙げられます。
大衆向けにCMや広告を配信できる程の資金力を持っている業者がまだ無いため、IFAの知名度がほとんどないという状況になっていると考えられます。
IFAのニーズは高まる
これまで金融機関が相手にしてこなかった資産形成層とされる投資家に対して、質の高い金融サービスを提供できるIFAは、今後必要とされるケースが増えてくる可能性が高いです。
また転勤がないIFAは、それだけ長期間の運用に対する責任があるので、金融機関において問題になった、短期間の回転売買等の問題ある営業を防ぐ存在にもなり得ます。
IFAの人数推移
公表されているデータを確認すると、日本におけるIFAの人数が徐々に増加している事がわかります。
IFAの人数は毎年増加
年月 | 役員 | 従業員 | 合計 |
2004. 6 | 20 | 10 | 30 |
2004.12 | 102 | 317 | 419 |
2005. 6 | 207 | 615 | 822 |
2005.12 | 281 | 863 | 1,144 |
2006. 6 | 299 | 1,200 | 1,499 |
2006.12 | 392 | 1,478 | 1,870 |
2007. 6 | 438 | 1,648 | 2,086 |
2007.12 | 446 | 1,688 | 2,134 |
2008. 6 | 468 | 1,704 | 2,172 |
2008.12 | 496 | 1,560 | 2,056 |
2009. 6 | 439 | 1,440 | 1,879 |
2009.12 | 470 | 1,474 | 1,944 |
2010. 6 | 474 | 1,524 | 1,998 |
2010.12 | 505 | 1,615 | 2,120 |
2011. 6 | 522 | 1,753 | 2,275 |
2011.12 | 568 | 1,854 | 2,422 |
2012. 6 | 582 | 2,082 | 2,664 |
2012. 12 | 591 | 2,041 | 2,632 |
2013. 6 | 599 | 2,154 | 2,753 |
2013. 12 | 606 | 2,240 | 2,846 |
2014. 6 | 609 | 2,413 | 3,022 |
2014. 12 | 605 | 2,407 | 3,012 |
2015. 6 | 628 | 2,409 | 3,037 |
2015. 12 | 652 | 2,369 | 3,021 |
2016. 6 | 655 | 2,364 | 3,019 |
2016. 12 | 687 | 2,417 | 3,104 |
2017. 6 | 685 | 2,496 | 3,181 |
2017. 12 | 672 | 2,451 | 3,123 |
2018. 6 | 687 | 2,557 | 3,244 |
2018. 12 | 699 | 2,756 | 3,455 |
2019. 6 | 720 | 2,912 | 3,632 |
このように毎年微増が続いており、確実にIFAになる人は増えている事がわかります。
グラフにしてみると、よりわかりやすくなります。
(日本証券業協会「金融商品仲介業者の登録外務員数の推移」から抜粋して作成)
毎年人数が増加している事がわかるかと思いますが、特にここ2年間におけるIFAの増加ペースが顕著に現れており、この期間だけでも約500人が増えてます。
明確な要因はわかりませんが、IFAが一般的に認知されるようになって来たことや、既存の証券会社のビジネスが不調である事などが背景になっているかも知れません。
証券会社の社員数
証券会社における社員数の推移を抜粋し、増減や今後どうなるかについて見ていきたいと思います。
証券会社の社員数は頭打ち
年月 | 会員数 | 社員数 |
2002. 6 | 287 | 95,802 |
2002.12 | 281 | 91,266 |
2003. 6 | 275 | 88,772 |
2003.12 | 278 | 86,881 |
2004. 6 | 265 | 89,308 |
2004.12 | 268 | 88,288 |
2005. 6 | 271 | 90,295 |
2005.12 | 284 | 89,866 |
2006. 6 | 298 | 95,707 |
2006.12 | 307 | 94,787 |
2007. 6 | 309 | 101,171 |
2007.12 | 316 | 101,296 |
2008. 6 | 321 | 105,348 |
2008.12 | 322 | 101,321 |
2009. 6 | 316 | 99,540 |
2009.12 | 307 | 95,308 |
2010. 6 | 302 | 96,147 |
2010.12 | 299 | 94,021 |
2011. 6 | 291 | 94,590 |
2011.12 | 290 | 90,679 |
2012. 6 | 276 | 88,506 |
2012. 12 | 270 | 84,802 |
2013. 6 | 260 | 85,980 |
2013. 12 | 258 | 84,698 |
2014. 6 | 255 | 87,480 |
2014. 12 | 252 | 87,046 |
2015. 6 | 252 | 90,479 |
2015. 12 | 252 | 89,823 |
2016. 6 | 256 | 93,121 |
2016. 12 | 260 | 91,695 |
2017. 6 | 263 | 93,773 |
2017. 12 | 265 | 92,695 |
2018. 6 | 268 | 94,993 |
2018. 12 | 266 | 92,634 |
2019. 6 | 265 | 94,154 |
リーマン・ショックが起こる前の2008年頃、およそ10万人が最大の人数となっており、それ以降は減少・増加を繰り返しています。
また同時に会員(証券会社)の数も頭打ちとなっている事から、証券会社は今後伸びてくる業界ではなく成熟産業である事がわかります。
(日本証券業協会「協会員の従業員数等」から抜粋して作成)
2002年からのデータですが、9万人あたりを挟んで上下している状況が続いており、長期で見ると人数はあまり変動していない事がわかるかと思います。
この人数の推移から、証券会社の社員が今後増えていく可能性は低く、対面営業の需要が無くなっていくと共に、社員数も徐々に減少していく事が予想されます。
まとめ
今後、証券会社を退職してIFAになるという流れが加速していくケースが予想されます。
既存の大手証券会社のビジネスはもはや通用しない時代になっており、メーカーなどが実施している大規模なリストラが、将来証券会社でも行われる可能性も高いです。
また、IFAの人数が増えていく事によって、IFAの社会的な認知度が上がり、多くのIFAの人が仕事をしやすい環境になっていく事が期待されます。