IFAとして独立する際に、ついつい顧客や手数料のことばかり考えがちになりますが、個人事業主として役所などに届け出なければならない書類などがあります。
放っておいても暫くは営業が出来ますが、後からそれが発覚して自分が責任を取る羽目にならないよう、事前にしっかりチェックしておきましょう。
また、この記事では「IFA=個人事業主」という前提を元に、独立の際にしなければいけない手続きを解説していきます。
社員IFAや、正社員として金融商品仲介業者に所属するIFAについては、当てはまりませんので勘違いしないように注意して下さい。
ハローワークで手続きするもの
“ハローワークで手続き”としていますが、厳密に言えばサラリーマンとして勤めている間に手続きが始まります。
失業保険
IFAになる方は、前職が金融機関の社員である方がほとんどであると思いますが、前の職場で失業保険に加入していた場合は、自己都合の退職であっても失業手当を受け取る事が出来ます。
基本的にはハローワークでの手続きは、この失業保険を受け取るために行います。
失業手当は「基本手当日額」を基準として計算されます。
これは、退職日の直前6か月間の給与(ボーナスは除く)の合計を180で割った金額(賃金日額)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっています。
自己都合で退職した場合の受給日数
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上、10年未満 | 10年以上、20年未満 | 20年以上 |
全年齢 | ー | 90日 | 120日 | 150日 |
それぞれ金額が異なり、勤めていた期間によって受給できる期間が異なります。
また、会社都合での退職の場合は計算方法が異なりますので、詳細についてはハローワークに直接確認するのが良いでしょう。
離職証明書を会社に提出
会社を退職する際に、渡される離職証明書に記載された内容を確認した上で、名前を記入し、捺印するように求められます。
離職証明書に記載されている「雇用期間」「賃金」「退職の理由」などに間違いが無いかなどをよく確認しておきます。
具体的には、会社都合の退職であるのに、自己都合となっていないかどうかなど、失業保険の受給金額などに影響がある部分については、事実と違っていないかチェックします。
雇用保険被保険者離職票の提出
会社を退職すると、後日会社から「雇用保険被保険者離職票」が郵送されてきます。
会社によって対応が異なっていて、退職後に自動的に送られてくる場合と、こちらから会社に連絡して郵送するよう依頼しなければいけない場合があります。
また稀だと思いますが、取りに行かないいけないケースもあるようなので、どのように受け取るかについては退職時に確認しておくと良いでしょう。
会社からこれを受け取ったのち、以下の4点を持ってハローワークへ手続きに行きます。
- 雇用保険被保険者離職票
- 印鑑
- 本人名義の普通預金の通帳
- 上半身が写った写真(縦3センチ×横2.5センチ)2枚
これらを持参した上で、求職の申し込みをします。
雇用保険受給者初回説明会への参加
ハローワークに指定された日付に、印鑑や筆記用具などを持参した上で説明会への参加をします。
この説明会へ参加することで、失業保険の申請に必要な書類である「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取ることができます。
4週間に1回、失業の認定を受ける
4週間ごとに失業の認定を受けます。
指定された日にハローワークに行き、雇用保険受給者初回説明会で渡される「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入した上で、「雇用保険受給資格者証」と合わせてハローワークに提出します。
税務署に提出するもの
何だかややこしそうな税務署への提出書類ですが、意外にもあっさり手続きが完了するほど簡単です。
個人事業の開業・廃業等届出書
名前が長いので、単に「開業届」と言われたりします。
「開業届」は開業してから1ヶ月以内の提出が義務付けられているので、IFAとして外務員の登録が済んだら、速やかに税務署へ提出します。
この書類は、新たに事務所を新設・移転・廃止などをした場合に提出しなければいけない書類なので、反対にIFAを辞める際にも提出が必要になります。
屋号は特に決めていなくても問題なく、必要最低限の箇所を記入して税務署に持っていけば、記入が足らない箇所は指摘されるので、その場で修正して提出できます。
青色申告承認申請書
「青色申告承認申請書」は提出が義務ではありませんが、ほとんどの方は提出しておいた方が良い書類に当たります。
開業してから2ヶ月以内に提出する必要があり、提出する事によって最大で「65万円の青色申告特別控除」が適用される事になります。
提出時の注意点としては、先の「個人事業の開業・廃業等届出書」を事前に税務署へ提出しておくか、もしくは同時に提出しなければいけませんので、順番が前後しないように注意しておきましょう。
その他の申請書
ほとんどの方は上記2点のみの提出で事足りるはずですが、ケースバイケースで必要になる書類としては以下のものがあります。
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
上の3点については基本的には提出の必要はないかと思いますが、必ず事前に税務署や専門家に必ず確認し、自分が損する羽目にならないよう注意しましょう。
まとめ
思いの外必要な提出書類が少ないので、ここまでの手続きであれば税理士などに依頼せずとも自分自身で完結できるかと思います。
途中で書類の記入方法がわからなくなっても、税務署に問い合わせたりその場で聞くと丁寧に教えてくれます。
個人事業主であるIFAは、こういった手続きは会社はやってくれる事はないので、提出の期限を過ぎてしまわないように、IFAに登録が完了したらなるべく早く済ませるようにしましょう。