欧米諸国において資産運用の専門家として地位を築いているIFAですが、近年日本においても認知度が高まってきています。
それに伴って、証券会社や銀行からIFAとして独立する人も毎年増えていますが、その際に金融商品仲介業者に所属し、登録を済ませることで営業活動をすることが出来るようになります。
今回は多くのIFAが所属している金融商品仲介業者について、設立方法や費用、期間などについて解説しています。
金融商品仲介業者とは
金融商品仲介業者とは、金融商品取引業者からの委託を受けることで、「有価証券の売買の媒介」「有価証券の募集」「投資一任契約の媒介」などの業務を行う業者を指します。
内閣総理大臣の登録が必要
業務を行うに当たっては、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。(金融商品取引法2条第12項)
簡単に言い換えるとすれば「証券会社の代理店」の仕事です。保険の代理店をイメージするとわかりやすいかも知れません。
金融庁のホームページ(https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html)で、金融商品仲介業者の登録を受けている業者を確認することが出来ます。
IFAとはどう関係してる?役割の違いについて
IFAと金融商品仲介業者について、混同している方もいますが、以下のような違いがあります。
金融商品仲介業者とIFAの違い
- 金融商品仲介業者
IFAが所属する法人。IFA(個人事業主)と業務委託契約を締結する。
- IFA
金融商品仲介業者に所属する個人事業主や社員
このように、個人であるIFAが所属する法人として金融商品仲介業者があります。
金融商品仲介業者としては、IFAに対して働きやすい環境を整える事が仕事で、IFAは仕事をする事によって金融商品仲介業者に利益を落とします。
お互いがギブアンドテイクの関係で成り立っています。
しかし、近年では正社員しか採用しない方針の金融商品仲介業者も増えており、業者によって考え方がそれぞれ違うので、所属するIFAの報酬体系なども異なっています。
金融商品仲介業者の設立にかかる費用
金融商品仲介業者の設立は、意外にも金額のハードルは低く設定されています。
金融商品仲介業者設立にかかる費用
- 登録免許税:90,000円
- 法人設立費:250,000円
- 印紙代:8,000円
- オフィス:500,000円〜
一番下のオフィスの費用を除けば 348,000円 のみあれば登録ができる事がわかります。
「オフィスなんて必要ない。自宅で開業すれば初期費用が節約できる」と考える方もいるかと思いますが、実際に財務局へ登録するとなると話が変わってきます。
財務局から金融商品仲介業者としての「登録要件」を満たすために、オフィス環境を整備する事を求められます。
環境整備のために別で費用がかかる
つまり、「個人情報の管理」「内部統制」などがしっかりと履行されるように、事務所や人的要件を満たすよう財務局や証券会社から要求され、それを満たさない限り金融商品仲介業者としての登録はできません。
保険代理店や宅建業者をイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが、間取りなどによるので一概には言い切れませんが、自宅をオフィスと兼用にして、気軽に金融商品仲介業を始めるという訳には行かなくなっています。
こういった事情があるため、ほとんどの場合で事業用のオフィスを賃貸しなければならないので、その初期費用がかかり、最低でも手元に 100万円は無いと設立まで完了できない可能性が高いです。
もっとよく知りたい人は、初期費用に関する詳細については関連記事をご覧ください。
証券会社や生命保険会社などから独立してIFAになる人が増えていますが、IFAのお金や収入に関する情報がまだ少ないので、なかなか独立に踏み切れないような人も多いかと思います。特に、個人事業主として完全歩合給のIFAに転職する事を検討し[…]
金融商品仲介業者の設立完了までの流れ
金融商品仲介業者の設立までの過程は、以下のような手順になっています。
設立手続き一覧
- 法人の設立登記
- 証券会社による審査・面談
- 証券会社と”金融商品仲介業業務委託基本契約”を締結
- 財務局へ金融商品仲介業の登録申請
- 申請から約6ヶ月程度を経て登録完了
申請前に証券会社との契約が必要
財務局に申請さえすれば登録されるという訳ではなく、金融商品仲介業者としての登録は”証券会社との契約を締結している事”が前提になります。
そして、この際に契約を締結した証券会社がその金融商品仲介業者の”代表証券会社”となります。
この”代表証券会社”は、コンプライアンスや内部統制などの面で監督責任を負う事になり、金融商品仲介業者はこの代表証券会社の意向に、ある程度従って営業活動をする事になります。
しかし金融商品仲介業者の登録後については、他の証券会社との契約が可能であるため、ほとんどの金融商品仲介業者は複数の証券会社と契約をします。
まとめ
金融商品仲介業者を設立するためには、ある程度まとまった資金と時間が必要な事が分かっていただけたと思います。
特に楽天証券やSBI証券などのメジャーな証券会社と契約をして、新規に金融商品仲介業者を設立するには、金融業界での実績に基づいて審査されるので、少し高い障壁となっています。
一方で、それ以外の証券会社で契約をして金融商品仲介業者を設立するハードルはそこまで高いとは言えず、要件さえしっかりと満たしていれば、滞りなく登録は出来るようです。
金融商品仲介業者を設立する場合、複数人数で集まって設立する事が現実的であり、一人であればIFAとして所属する方が良いでしょう。