証券会社からIFAとして独立をする人が増えていますが、「証券会社よりもIFAは年収が多いのか?」と不安や疑問を感じている人も多いでしょう。
IFAは会社員と違って”完全歩合給”の契約であることが多いため、漠然と稼いでいるイメージを持つ人も多いようです。
この記事では、証券会社とIFAの年収の比較や、報酬面におけるそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
仕事内容はほぼ同じ
まず、証券会社とIFAの年収について比較する理由としては、両者の仕事内容がほとんど同じである事が挙げられます。
契約形態は大きく異なる
どちらも投資家に対して金融商品を販売する事が共通しており、実際に半数程度のIFAが証券会社出身であるというデータもあります。
しかしながら以下のように、IFAと証券会社の社員では契約が異なっており、報酬の基準となるものが大きく違います。
- IFA … 完全歩合給
- 証券会社の社員 … 固定給+ボーナス(評価によって変動)
どちらも成果が年収に反映されるような仕組みなっていますが、IFAの方が直接的に反映される事がわかるかと思います。
証券会社の社員の場合、上司からの評価に加えて、会社利益などによっても変動しますので、IFAと比較すると成果の反映度合いが低くなります。
IFAは証券会社より年収が高い?
IFAへの転職を考えている方が最も気になる点が年収でしょう。
証券会社も同年代の中では年収が高い業種であることは間違いありません。
しかし実力がある人は、IFAになるとさらに高い年収を期待することができます。
それでは、証券会社とIFAの年収を比較してみましょう。
証券会社の年収は696万円
大手転職サイトマイナビよると証券業界の平均年収は696万円となっています。
日本人サラリーマンの平均年収が420万円程度と言われていますので、証券会社の平均年収696万円は他のサラリーマンと比べても抜きん出ているということが言えます。大手の証券会社の多くが年功序列的な報酬体系となっていますので、勤続年数が上がれば年収はさらに上がっていきます。
40代になって管理職になるようになれば平均年収は1,000万円を超えることも珍しくない安定して高収入が望める職種ということが分かります。
しかし、逆に20代の若い間は年収は400万円代であることが多いので、若いうちから高所得を得ることができないという点はデメリットでしょう。
IFAの年収は1,000万円超えも珍しくない
一方、証券会社とは独立したフィナンシャルアドバイザーでるIFAでは年収1,000万円を超えることも全く珍しくありません。
IFAは自分が顧客に販売した金融商品の手数料の一部を証券会社から受け取ることができるので、売った分だけ年収を増やすことができるのです。
証券会社であれば、どれだけ販売しても自分の年収がすぐに大きく変化することはありません。
売上は会社のもので、会社から評価されて初めて給料が上がる構造になっているためです。
しかし個人事業主であるIFAは、仕事の成果がダイレクトに自分の年収に反映されるので1,000万円どころか5,000万円以上稼いでいるIFAも珍しくありません。
IFAとは、”Independent Financial Advisor” の略であり、その言葉の通り独立したファイナンシャルアドバイザーの事を指しています。IFAは証券会社や保険会社などに雇用されている訳ではなく、完全な個人事業主[…]
若手にも大きなチャンス
また営業実績が報酬の全てですので、20代の若いうちから1,000万円以上の所得を稼ぐことも全くもって夢ではありません。
それに加えてIFAは証券会社と比較して構造的に無駄がないので、高い収入を得ることができるという側面もありますが、この点については詳しく後述します。
ただし、金融商品を販売する能力がなければ収入はありませんので、証券会社に勤務しているよりは不安定であることはデメリットです。
IFAはなぜ証券会社よりも年収が高くなる?
基本的に証券会社よりもIFAの方が年収は高くなる傾向にあります。
それは、証券会社という組織が高コスト体質となっており、IFAの方が効率的になっているという構造的な側面が大きく関係しています。
証券会社は複雑な機能になっており高コスト体質
長い歴史のある日本の証券会社は、会社の合併や組織の再編を繰り返していることから、会社の機能が非効率で複雑になっていて余計な人員も多く抱えており、組織として高コスト体質になっています。
そして、このような構造的なコストを補填するために、証券会社は支店に過剰なノルマを課しています。
支店は本社の高コスト体質を補填するためにノルマ獲得に邁進しますが、本社のコストを補うために金融商品の販売をしているため自分の年収に還元される割合が必然的に少なくなってしまうのです。
また、ノルマ獲得のために、必ずしも顧客の利益にならない金融商品の販売を余儀なくされるというケースも珍しくありません。
IFAは手数料の50%程度が報酬になるから
一方、IFAの場合には、証券会社のように非効率的な本社組織の穴を埋めるための金融商品の営業を行う必要は全くありません。
楽天証券やSBI証券などでは、販売した金融商品の手数料の50%程度*もIFAが受け取ることができるので、販売した分だけ自分の年収に直結します。※多数の面接経験者からの情報提供からに基づくデータ
そしてネット証券は大手証券会社よりも効率的な組織構造となっているので、IFAによる金融販売は「効率的なネット証券の金融商品をIFAが販売する」ことになり、非効率的な組織である証券会社の中で金融商品を販売するよりも収益力が高くなります。
証券会社とIFAでは、同じ金融商品を販売するにせよ、構造的には全く異なる体系の中で仕事をすることになります。
まとめ
無駄なく効率的な組織体系の中で金融商品を販売することができるIFAの方が「年収がアップする構造的な背景がある」ということが言えるでしょう。
また、ノルマに追われて顧客に不利益を被らせてしまう可能性は証券会社よりもIFAの方が低いと言えるため、IFAは「自分の年収も上がり顧客の利益にもなる可能性が高い仕事」と言うことができ、証券マンとしてやり甲斐も感じることができるのではないでしょうか?