IFAとして独立すると、新規開拓が最も重要な営業になります。
証券会社や保険会社に所属している時と違い、新規顧客の引き継ぎなどがなくなるため、IFAがそれぞれ自分自身で考えて顧客を見つけてくる必要があるからです。
今回は、多くのIFAがどのように新規開拓をしているか、紹介していこうと思います。
IFAはほとんどが紹介営業
数ある方法の中で、最もメジャーな方法が紹介営業です。
IFAに限らず、保険代理店や不動産業界などでも独立している人は、この紹介営業が頼みの綱になっているケースが多いと思います。
日本経済新聞にも、以下のようにIFAの営業方法について紹介されています。
■証券会社出身が4割強、経歴で収益源や提案商品に差
新規顧客の獲得方法(複数回答あり)はトップの「顧客・取引先・知人からの紹介」が76.5%に達した。2位の「自主開催のセミナー参加者」は27.5%、3位の「自身のIFA業務以外の顧客」が20.0%で、IFA業務は過去の経歴からのネットワークに大きく依存している面があるといえる。
(日本経済新聞 2018年11月21日/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37920780Z11C18A1000000/)
セミナーなどで新規顧客を獲得する人もいるようですが、基本的には紹介による獲得が圧倒的に多く、実に75%以上の割合で、紹介によって新規顧客を作っている事がわかります。
紹介のメリット
IFAが紹介で顧客を広げていく事には、主に以下のようなメリットがあります。
- 費用がかからない
- 顧客の属性が良い
- 確度が高い
コストも時間もあまり費やす事なく、新しい顧客を獲得できるのが最大の強みです。
「富裕層の友達は富裕層」であり、IFAのターゲットとなる資産を持っている人に簡単にアクセスする事ができます。
また紹介なので無下にされる事もなく、成約率もかなり高いため、顧客の作り方としては最も効率的であると言えるかも知れません。
紹介のデメリット
紹介営業はメリットが大きい反面、デメリットも無視できません。
- 頻度が不規則
- 悪評は一気に広まる
定期的に紹介を受ける事ができれば理想的ではありますが、この紹介のペースというのはコントロールできません。
例えば「来月は○万円くらいの収益にして、その次は○万円くらいで…」というような月単位での予定が組みにくくなります。
紹介営業に頼るリスク
紹介営業というのは効率がよく、顧客になってくれる確度も高い方法であるため、理想的な営業方法です。
どの業界においても、トップセールスとされる営業員は、紹介によって顧客を増やす高いスキルを持っています。
しかし、証券業界の場合は少し事情が異なっています。
金融資産の中でも、保険などと違い、高リスクの有価証券を取り扱うのが証券会社やIFAです。
紹介に頼りすぎると、その中の誰か一人にでも大きな損失が発生した場合、連鎖的に取引がストップしてしまうリスクがあります。
なるべくであれば、紹介以外の手段でも新規開拓が出来た方が好ましく、それぞれの顧客が独立して成り立っている状態にしておけば、連鎖的に取引がストップすることを防ぐことが出来ます。
紹介以外の方法
上で記載されている通り、紹介以外による新規顧客の獲得方法もあります。
セミナー開催
IFAの中には、自らセミナーを開催して新規顧客を獲得している人もいます。
基本的には、SBI証券や楽天証券などが協賛となってセミナーを開催するケースが多く、証券会社からアナリストを派遣してもらったりする事もあります。
ただし、会場や集客などに掛かる費用については、金融商品仲介業者もしくはIFA側の負担となりますので、証券会社が負担してくれるという事はありません。
これには、そもそも証券会社が会場や集客のコストを負担した場合、仲介業者を通さないで自社の顧客にした方が利益になるという事情があります。
準備に時間がかかる
自分でセミナー開催をするためには、以下のような作業を全て自分自身で行う必要があります。
- セミナー資料の作成
- 会場の手配
- DM or チラシ作成
- 広告審査の請求
慣れてしまえばそこまで大変なものではありませんが、何よりも”集客”が最も大変な部分であり、証券会社を通じてDMを配信する事もできますが、なかなか思うように反響がない場合もあります。
特に東京の都心部などでは、投資セミナーが乱立していて飽和状態になっているので、セミナーのテーマでいかに差別化を図るかが重要になってきています。
ルートは多ければ多いほど良い
効率が良くコストがかからない紹介で顧客を広げると同時に、万が一に備えてセミナーなどで別経路での新規顧客も確保しておく事がベターです。
両立出来ると収入は安定する
これを高いレベルで出来るIFAは、収益はかなり高いところで安定するのではないかと思います。
セミナー開催は紹介と違い、お金が多少かかる上に、少しコツというか人前で話をする練習も必要になってくるかと思います。
ただし、回数をこなすと効率良く顧客を増やす事が出来るようになりますし、実際に多くのIFAが全国各地でセミナーを開催しています。
それ以外の方法
例えば、何かのコミュニティに参加したり、趣味のサークルなどに入ったりする事で、その中で新規顧客が開拓出来るケースもあります。
いずれにしても、特定のルートからの新規顧客に頼ることはなるべく避けるようにし、新規顧客が全く作れなくなってしまう事を防ぐ事が重要です。
まとめ
紹介に偏り過ぎる事はなるべく避け、長くIFAの仕事が出来るようにリスクヘッジしておく事が重要であると思います。
近年ではIFAの人数が増えてきたために、IFAという職業そのものの知名度は向上したものの、反対に各IFAが差別化を図る必要性が出てきています。
IFAに転職を考えている方は、転職後にどのように新規開拓営業を進めていくかについて、具体的にイメージして計画しておく事で、収入が安定しやすくなるかと思います。