実は違法?顧客を連れてIFAに転職することについて

ここ最近、証券会社を退職してIFAとして独立するというケースが増えてきています。

IFAに転職する際に今まで証券会社で担当していた顧客を一緒に連れて行くことで、IFAとしての一定期間の収入に目処が付きます。

顧客の多くは、担当者と取引をしている感覚なので、独立後に喜んで付いてきてくれる方も少なくありません。

一方で、証券会社からすれば人材が流出する上に、大事なお客様を奪われることになります。

実際に証券会社とのトラブルに発展してしまったケースもありますので、今回は顧客の引き抜き行為について解説していきます。

方法次第では違法になる可能性

IFAに限らず金融業界においては珍しくない顧客の引き抜き行為ですが、その方法は様々なケースがあると思います。

逮捕されてしまった例

しかし、中には数々の不運が重なって引き抜きが問題になってしまったケースを紹介します。

丸三証券大阪支店の20歳代の女性社員が、キャピタルパートナーズ証券大阪支店に転職し勤務していたかつての上司らに対し、自らの顧客の個人情報を多数漏洩していたとして、2009年(平成21年)9月1日に逮捕された。
この女子社員は、キャピタル・パートナーズ証券への転職を考えており、その際に、その元上司から、売上の3割をもらう条件で、顧客の紹介を依頼された模様。
同証券は同年1月に、この女性社員を懲戒解雇とし、大阪府警告訴していた。

(引用:wikipedia 引用元ページ

全ての証券会社がここまでするかと言われれば、そんなことはなく、いわゆる証券会社による”見せしめ”的な意味合いが強いような印象を受けます。

しかしながらこのケースでは実際に刑事事件にまで発展し、逮捕まで至っていますので、顧客情報の扱い方を間違えてしまうと、会社によっては同じような対応をされる可能性があります。

不正競争防止法

この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(引用:不正競争防止法

この不正競争防止法の中に、「営業秘密の侵害」というものが含まれており、こちらの丸三証券のケースではこれに抵触した可能性が高いです。

具体的には、顧客情報やその会社特有の技術などの営業秘密を、窃盗などの不正の手段によって得ることを指します。

営業秘密は、以下の3つの要件全てを満たしている必要があります。

  • 秘密管理性:秘密として管理されていること
  • 有用性:実際に利用されているかに関わらず、有益な情報であること
  • 非公知性:公然に知られていないこと

つまり、証券会社の顧客の連絡先や、預かり資産などの情報については、全て満たしていると思われるため、当然営業秘密に該当する可能性が高い情報です。

スムーズにIFAに転職するには

リスクに焦点を絞って説明をしてきましたが、実際には証券会社に気づかれることなく、問題にならないことが圧倒的に多いのも事実。

周りには言わない方が良い場合も

とにかく心配でリスクを取りたくないという人は、次の点に細心の注意を払い、なるべく穏便に退職を済ませるようにしましょう。

  • 同業他社(IFA)に転職すると言わない
  • 顧客データは、印刷したり転送したりしない
  • 支店の重要顧客に勧誘しない

これらの事を守ってさえいれば、少なくとも大ごとには発展する可能性が低くなり、顧客を連れてIFAに転職したとしても、勤めていた会社が全く気づかない場合もあるかと思います。

会社に大きすぎる実害を与えない

例えば、毎月数百万円の手数料を計上している顧客を連れて行くのと、それまで不稼働の顧客を連れて行くのでは、証券会社側の損失も全く異なります。

直近半年の間、不稼働に近い取引しかない顧客の口座を抹消したところで、証券会社の損失はゼロです。

在職期間中に手数料が継続して発生している顧客を引き抜ことで、証券会社が被る具体的な金額が明確になってしまうケースも。

そのため、

  • 在職期間中の取引を控えてもらう
  • 支店の重要顧客には勧誘しない

この2点に気をつけることで、トラブルは発生しにくくなるかと思います。

誓約書には素直に署名すべき

とにかくバレないように行動することが一番良いのは間違いありませんが、その後もトラブルに発展しないように、予防しておくことが大切であることは理解していただいたと思います。

誓約書は実はあまり意味がない事も

ですが実際に退職する時になると、会社からいわゆる「誓約書」のような書類の提出を求められます。

誓約書の主な内容としては

  • 会社で知った情報を漏らさない
  • 同業他社で仕事しない(競業避止義務)

こういったことが記載されていて、「約束を破ったら法的措置をとりますよ」といった脅し文句もついている場合もあるでしょう。

ここで、例えば退職後にIFAに転職することが決まっていた場合や、他の金融機関に転職する場合などは少し躊躇する人もいるかと思います。

心配であれば専門家に相談

これは専門家の間でも意見は割れるかもしれませんが、少なくとも憲法では「職業選択の自由」というものがありますので「会社によるちょっとした牽制」くらいに捉えておけば良いそうです。

誓約書の提出を求められた時に渋ったり拒否したりすると、却って会社に顧客情報の持ち出しを疑われる事もあるかもしれません。

そして仮に誓約書を提出しなかったからと言って、顧客情報の持ち出しや顧客を連れて独立することが完全に合法になるわけでもないそうです。

誓約書はそれだけ強い意味のあるものではないので、素直に書いてしまうのが最良の選択になると思われます。

しかし「どうしても書きたくない」「トラブルは絶対避けたい」と考えている人は、一度専門家に相談する事をお勧めします。

さいごに

金融業界は他の業界と違って、ライバル企業への転職が盛んであり、その背景には「顧客意向」が特に尊重されるという文化が挙げられます。

顧客が会社ではなく、その担当者に付いて行きたいと思えば、トラブルを起こすことなくスムーズに移動ができます。

パワープレイで「リスト持ち出して、後から電話ローラー作戦するぜ」みたいなリスキーな事はしないようにしましょう。

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