証券会社はなぜ頻繁に転勤させるのか?証券マンの転勤が多い理由について

大学を卒業して新卒で証券会社に入社する場合、ほとんどが総合職として採用されます。

総合職は、「会社の幹部候補として、営業だけでなく色々な職種を経験していく」ということになっており、将来的な様々なキャリアの可能性がある一方で、裏を返せば、会社のいかなる辞令に対しても従うという意味でもあります。

しかし証券会社の場合、ほとんどの人がリテール営業として長い間勤めますので、別部門へ転籍することは稀であり、会社の辞令のほとんどが他支店への転勤です。

会社は建前で「顧客との癒着などを防止するため」、「キャリアアップのため環境変化」などと言いますが、今回はその真意について考えてみようと思います。

証券会社における転勤のメリット

証券マンにとっての転勤には、以下のようなメリットがあります。

全国の色々な場所に行けるので気分転換になる

職場環境がすぐに変わることで、気分転換になりますので、少なくともマンネリを感じながら一生同じところで勤めることは有りません。

転勤の頻度は様々ですが、およそ2〜5年程度に1回という証券会社が多いようで、もし定年まで同じ会社に勤めると仮定した場合、少なくとも5〜6回は引っ越しを経験するということになります。

転勤先には東京、大阪、名古屋などの大都市だけでなく、新潟や大分など支店さえあれば、どこにでも転勤になる可能性があるので、職場だけでなくプライベートでも色々な出会いがあって、これを魅力的に思う人もいるでしょう。

顧客との関係が悪化してもリセット出来る

証券会社の支店では毎月厳しいノルマに追われるので、売りたくもない商品を自分の顧客に売ることもあります。

証券会社が重点商品として指定する投資信託等は、手数料が割高なために顧客側が不利になるように設計されているケースが多く、顧客の信用を失墜させてしまう場合も多々あります。

結果として、証券会社の営業員は会社と顧客の板挟みになるために、精神的に疲弊しやすいと言われています。

根本的には解決出来る問題ではないですが、転勤によって拗れた顧客との関係をリセットし、転勤先で新しいお客さんと関係を構築していこうという精神的な助けにもなることが多くあります。

証券会社における転勤のデメリット

コントロール出来ない転勤のデメリットは多くあり、自分だけでなく家族に影響する場合もあります。

顧客との本当に深い付き合いがしにくい

証券会社の営業という仕事は、お客さんの資産を預かって運用するという、他の営業とは比較にならないほど重い責任を負います。

証券会社やエリアなどによって様々ですが、場合によっては一人で数十億円という金額を任されます。

時間をかけてここまでの信頼関係を築き上げても、いずれ転勤によって担当から外れることになります。

引っ越しが多く、家族に影響する場合も

引っ越しを伴う転勤が多いため、結婚して家庭があったりした場合、一緒に引っ越しをしてもらうか、単身赴任をするかを選ばなければなりません。

一緒に引っ越しをしてもらう場合、家族の理解を得る必要があり、少なからず負担をかけることになります。

特に子供がいる場合などは、何度も転校を繰り返すことになりますので、精神面にかなり大きく影響することになります。

単身赴任する場合であればこの負担というのは無くなりますが、家庭によっては問題になるケースもあります。

少なくとも二重生活をすることになるため、家賃の負担が純粋に2倍となり、他の出費を抑えざるを得ない状況となるケースも考えられます。

転職活動がしにくい

実は転職市場において証券会社の営業経験者のニーズは高く、他業種の営業職と比べると高く評価される傾向があります。

メンタルの強さが要求される職業で、なおかつビジネススキルが高いことから、他の金融機関をはじめ、全く関係のない業種においても活躍できる可能性が高いと判断されます。

大手証券会社の証券マンとして、ある程度の成績を残し、そして東京に住んでいた場合、特に強いこだわりがなければ、転職は割とあっさりと決まってしまうと思います。

しかし、転勤で東京以外に勤めている場合、メールや電話でのやり取りは進みやすいものの、大企業は本社が東京であることがほとんどなので、面接の調整が上手く出来ないケースがあります。

例えば、四国や九州などから東京に行って面接となると、旅費・交通費だけで5万円以上かかることもあり、精神的にもコスト的にもかなり負担となり、転職活動が続かない場合もあります。

転勤は証券会社側の都合が原因

あくまで想定の域を出ませんが、頻繁に転勤をさせることで、証券会社は社員に転職の機会をなるべく与えないという側面もあるかと思います。

離職率を下げるための工夫

証券会社は、ただでさえ離職率が高い業界であり、特に優秀な人から辞めていってしまう傾向があります。

会社としては、莫大な費用をかけて新卒採用し、時間をかけて研修までして、やっと社会人として一人前となった人材を、そう簡単に他社に取られることは避けたいはずです。

証券会社の顧客には、法人顧客をはじめ、会社の経営者が多くいます。

一人が長く担当することで、信頼関係が構築できるというメリットがある一方で、結果としてその会社に引き抜かれてしまう可能性もあります。

顧客を繫ぎ止めるため

また、取引するお客さんは、損失が膨らんでいる状態でずっと同じ担当が続いている場合、他社に預かりを移管してしまおうと考えます。

そこで担当者が変われば、「もしかしたら次の人はちゃんと増やしてくれるかも」という希望を感じることができ、預かりが他社に流れてしまうのを防ぐ効果もあります。

証券会社は、キャリア形成なども考慮しないこともないですが、こういった会社の数字を守る効果を期待して、こういった転勤制度を決めていると思われます。

まとめ

やはり証券会社における転勤のメリットは全く無いわけではありませんが、デメリットの要素が大きく目立ちます。

就活している時と、入社してしばらく若いうちは、あまり実感が湧かないかもしれませんが、このマイナス要素は大きな負担となることも想定しておく事が必要です。

残業代未払いやパワハラに比べると地味であまり問題とされませんが、社員に負担を強いるという意味においては大きな問題であり、改善していかなければいけません。

最新情報をチェックしよう!