「証券会社 ブラック」などで検索してみると、面白いほど色々な悪い評判が出てきますが、一方で証券の営業の仕事はそれだけ年収が高いのも事実です。
高い年収に魅力を感じて、それだけで就活で証券会社に入ろうと考えている人もいるかと思いますが、結論としては「就職先として、あまりオススメ出来ない」と言い切れます。
もちろん良い点もありますが、具体的にやめておいた方が良い理由もいくつかありますので、この記事ではそれを紹介して行こうと思います。
業種別年収ランキング
【全316職種】職種別モデル年収平均ランキング結果
316職種のモデル年収平均ランキングでは、1位が「システムアナリスト」(1,100万円)、2位が「不動産営業」(988万円)、3位が「金融営業(個人)・リテール・FP」(916万円)となりました。
上位10位のうち6職種が「コンサルタント・金融・不動産専門職」に分類される職種となっており、そのうち5職種が前回の調査から順位を上げています。また4位には、2017年版では10位圏外だった「建築・土木」に分類される職種から「その他設計・設備設計」(880万円)がランクインしました。(引用:マイナビ https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/income/ranking)
このように、1位であるシステムアナリストを除くと、コンサル系などの営業職が上位にランクインしています。
その中でも金融の営業は、他業種と比べると稼げる仕事として有名であり、さらにインセンティブ制度や歩合給などで稼ぐ人も多いため、これが業種平均を押し上げている要因のようです。
さらに金融業界の中でも証券会社はトップクラスの年収で、そして野村證券や大和証券などの大手証券会社となれば、会社全体での平均年収が1,000万円を超えるようです。
中小の証券会社は、就活の説明会などでこの高い年収を全面にアピールして、応募者を集めようとする傾向があります。
やっぱり激務?証券会社の労働環境について
先ほど説明した通り、証券会社の年収が高いのは間違いなく事実ですし、大手証券会社ではなく聞いたこともない証券会社ですら、かなり高額な年収を貰えることも。
とにかく朝が異常に早い
証券会社の中には大手の上場企業であっても“自主的な出勤”という名の下、半強制的に1時間以上は早く出社させられることも。
仮に定時の始業時間が朝8時30分だとすると、7時30分までには支店に出勤していなければ、雰囲気的に”遅刻扱い”にされて、上司から叱責されるという事です。
朝の5時45分からモーニングサテライトという番組が始まるのですが、これは単なるニュース番組ではなく、直前までのニューヨークの相場状況についてだったり、市場において注目されている銘柄や株価の予想などを伝える経済ニュースがメインです。
毎日これを観ながら朝の支度をして、7時30分までに支店に辿りつかなければなりません。それに加えて、朝の会議までに日経新聞も読み込んでおく必要があります。
支店によって働く環境が違うことも
「〇〇証券」と一言で言っても、大手証券会社ともなれば100以上の支店があります。
支店の成績について、支店長が本社から任されることになり、物理的にも本社から遠いとなれば、支店長の裁量権が強くなる傾向があります。
つまり、支店長によって大きく働く環境が変わってしまうケースがあります。
本社からすれば、とにかく支店の営業成績が達成されているかが最重要であるため、パワハラやセクハラなどの支店内の問題について目が行き届かないことも。
証券会社は避けて通れない、ノルマとの付き合い
証券会社の営業をする上で、必ず付き合って行かなければならないのが「ノルマ」です。
目標(ノルマ)のプレッシャー
仕事内容は、基本的には「資金導入」と「手数料収益」の目標(ノルマ)を達成することですが、これを両方毎月コンスタントに達成する必要があります。
そして、ただ達成すれば良いというのではなく、日割りでの進捗についてもプレッシャーがあります。
お客さんの都合や、相場の状況によっては、その月の後半に手数料が自然と集中してしまうこともあるわけですが、上司がそんな言い分を聞くはずもなく、とにかく月の最終週に突入する前までには必ず達成という一点張りです。
どこの証券会社でもこういったシステムになっているので、かなり運要素が強く、自分では頑張ってもどうにも出来ないこともあると思います。
無名の証券会社は営業しにくい
新卒の基本的な仕事内容は、新規開拓営業になりますが、意外と本人の能力ではなく、入社する証券会社によって結果が左右されることがあります。
IPOなどの取引のキッカケとなる商品(投資家に有利な商品)があれば、証券マンの能力関係なく、目標を達成できることが多いのも事実。
ですが、そういった商品の取り扱いはその証券会社の力によって左右されます。
いわゆる零細の証券会社ではIPOを全く取り扱わないか、ごく僅かしか扱わないため、IPOを大量に取り扱う大手証券会社と比べると、顧客開拓がかなり不利になります。
研修が不十分で、わからないまま売ることも
また、入社後の研修制度についても、大手証券会社の方は圧倒的に充実しているので、かなりハイレベルな金融に関する知識がつきます。
したがって、支店に配属されていきなり営業に出されても、投資家の人とある程度話ができるレベルにはなるのですが、この研修制度が全く重要視されておらず、短期間で終わってしまうような零細の証券会社も多くあります。
こうなると、体育会系の精神論になりますので、工夫のしようがありませんし、営業の効率が相当悪いので、精神的にも疲弊していく新入社員が多くなります。
AI(人工知能)の発達で仕事は無くなる?証券会社の将来性
何度も言いますが、高収入であることには疑いがないのですが、同時に果たしていつまでこれを持続出来るか考えるべきです。
米ゴールド・マンサックスでは、600人いたトレーダーが2人に…
少し前に、世界最大の投資銀行である米ゴールドマン・サックスのトレーディング部門について、かつて600人もいたトレーダーが、現在では2人しか残っていないという衝撃的なニュースがウォール街で話題になりました。
その代わりに、エンジニアの雇用が急速に増えてるということです。アメリカの証券会社では、そうした大きな人員構成の変化が今まさに起こっています。
このゴールドマン・サックスのニュースは、極端な例かもしれませんが、これに近いことが日本の証券会社でも起こる可能性はあります。
参考:https://www.excite.co.jp/news/article/Economic_72036/
実際に、対面の証券会社各社では、委託手数料の減少が加速しており、それとは対照的にネット証券各社の収益がひたすら伸びている構造になりつつあります。
こうなると、特に上場している証券会社は、株主から収益性の改善を要求されることになり、大規模なリストラをし、人件費を抑える選択肢も視野に入れなければなりません。
ストレスによる疲弊
証券マンは、先ほど書きましたが、毎月ノルマのプレッシャーに追われながら生活をします。
毎朝5時台に起床する人が多いので睡眠時間も短く、基本的に平日はプライベート無しです。
そして総合職であれば男性女性関係なく、家庭が有ろうが無かろうが関係なく、2〜3年ごとに突然転勤を命じられる可能性が高いです。
定期的に働く場所を変える事ができるので、これを気分転換と取る人もいるでしょうが、何せタイミングを選択できないので、結婚や子育てを考えたときにこの転勤がストレスになるケースが多いです。
実際に正式に公表されているかどうかはわかりませんが、こういったハードなストレスが慢性的に続くので、証券会社で勤務した人の寿命はかなり短いとも言われており、60才前後で亡くなる人も多くいるようです。
選択肢が多様化している
昔に比べるとさまざまなサービスが新しく出てきており、転職のハードルもかなり下がっています。
そもそも金融業界は、人の流れが激しいので転職する人が多かった業種ですが、この業種もここ最近になって更に加速しているような気がします。
そして、ヘッドハンティングのような転職となると年収は前職よりも上がる場合がほとんどなので、転職すればするほど徐々に上がって行くこともあります。
実際に保険業界などからすれば、金融の知識があって、その上で営業力と体力がある証券会社出身の人はかなり魅力に映ります。
さいごに
どこかの会社に就職して長く勤めたい、あるいは定年まで同じ会社にいたいと考えている人には、「年収が高いから」という理由だけで証券会社を選ぶのは余りにもリスキーかと思います。
とにかく配属される支店によって運要素が強く、転勤がかなりの頻度であるので、将来的に単身赴任となる可能性も高いです。
また、毎月のノルマをひたすらに達成し続けるというプレッシャーがずっと続きますので、精神的強い人でもどこかで折れてしまう可能性もあります。
これは実際に、証券会社の離職率の高さで証明されているかと思います。
証券会社は年収が高い一方でその分デメリットもかなり多く、給料が割に合うと感じるかどうかは人によりますが、他の選択肢も考慮に入れた方が良いでしょう。